新型コロナ対策でデイサービスのクラスタ予防【実践編】

こんにちは。地域密着型通所介護(10名定員の小規模デイサービス)の運営と、小規模多機能型居宅介護(デイ・訪問・泊まり)の運営をしています。

この記事は、この2つの事業所で行っている新型コロナ対策を紹介したいと思います。(新型コロナの基礎知識はココでは省きます。)

厚生労働省やテレビで行っている感染予防のいろはではなく、デイサービスで高齢者の3密空間になる現場で、実際にどのような事をしているのか?

以下の順に写真つきで紹介していこうと思います。

  • スタッフの不安と向き合う
  • 利用者さんの不安に向けた発信
  • 家族さんの不安に向けた発信
  • ソーシャルディスタンスの工夫
  • クラスター予防のために
  • レクリエーションの工夫
目次

スタッフの不安と向き合う

デイサービスは3密の職場です。そしてスタッフは家族がいます。自分が感染してしまえば家族に迷惑がかかる。そんな不安のなか3密の職場で働いています。

不安を感じる時は、過敏に反応します。テレビでコロナのニュースが流れれば焦ります。不安がさらなる不安の呼び水になります。

感染予防の知識をつけて無暗に怖がるなと言ったところで、感情は別物ですからそれは無茶な話しというものです。(現任研修はしますが)

人が動く3条件は、①理論 ②道徳 ③情熱です。

理論的に感染予防策を理解できていたとしても、管理者の道徳的な判断がなければ動かないし、感情を受け止めてくれなければ不満は溜まるのです。

スタッフの不安と向き合う

  • 毎終礼後にスタッフの不安を聞く時間を設ける。
  • スタッフのアイデアは効果の有無に関わらず取り上げる。

上記の事を意識して責任者及び相談員はスタッフと関わりを持ちます。話を聞いてくれるというだけで安心感を作り出せたりします。また不安は毎日でてきます。スタッフの不安に向き合うのは終わりのない業務のひとつだと認識するぐらいで丁度です。

スタッフから出てきた意見

  • アルコール入りファブリーズでスタッフの服を消毒したらどうか?
  • 37.0以上ある利用者は家族に申し送って帰ってもらってはどうか?
  • 家族に申し送るまでの対応で、隔離対応してはどうか?
  • 食器拭きは禁止して乾燥機で乾かしてはどうか?
  • 扇風機を使って空気の流れでマイクロ飛沫を吹き飛ばしてはどうか?
  • フェイスシールドを用意してはどうか?

この話し合いは(2022/3/28現在)も続いていて、追加で出てきた意見としては

  • マスクを送迎車の中においてはどうか?
  • 送迎から帰ってきたらイソジンでうがいをしてはどうか?

スタッフから出てくる意見は、なんら根拠があるものではないですが、自分で考えた感染予防策を会社が聞き入れて実践してくれるというのは、少なからずの安心感を作り出す事ができます。

第一波の時のスタッフと向き合った時の動画

利用者さんの不安に向けた発信

新型コロナの1波があった時に、デイサービスの利用控えがありました。利用者さんに向けて「安全なデイサービス」をいち早くアピールする必要性が出てきました。

  • 1日3回 クリーンタイムの導入で消毒換気をアピールする。
  • 11:00/13:00/15:00にクリーンタイムを行う。
  • 内容は換気・手で触るところの消毒、床の消毒。
  • おひとり様1テーブル制を導入する。

現在(2022/3/28)ではオミクロン株もでてきて第6波。他のデイサービスに行っている利用者さんが濃厚接触者になって、こちらのデイにも影響がでてきたりしています。

保健所がキャパ超えしてて濃厚接触で自宅療養指示も後追いです。他のデイでクラスターが起きて、緊急的にこちらのデイで受け入れという時もありバタバタしていたりします。

濃厚接触になってしまったら念のため家族やケアマネジャーの依頼があろうと受け入れは出来ない旨を伝えています。後から保健所から連絡がくる場合があるからです。

クリーンタイム

ライカー副長
「今からクリーンタイムを実施します。」

と宣言して行います。これは「感染予防の環境を今から行いますよ」と利用者さんに伝えます。伝えて安心感を抱いてもらうという意図があります。

ソーシャルディスタンス

おひとり様1テーブルは、自分のスペースを確保してソーシャルディスタンスの見える化を行います。ソーシャルディスタンスといって目分量の距離感では不安感は拭えないのです。「テーブルひとつ分」という見える化をして心理的な安心感は生まれてきます。

ご家族の不安に向けた行動

デイに送り出すご家族の不安にも目を向けなければなりません。特に同居ではなく、別居家族は利用者本人の事をあまり知りません。

知らない事ほど怖いものはないんです。自分の親の状況を知らないゆえに、怖さを覚えるのは人の心理なのです。

だから施設の感染予防対策のお知らせを送付します。

  • 37.0以上のスタッフは勤務せず帰宅すること。
  • 37.0以上の利用者さんは隔離対応を行うこと。
  • 隔離対応をした場合の利用者さんの人権を尊重すること。
  • 1日3回のクリーンタイムを設けていること。
  • なにか異常があった時はすぐにご家族へ連絡すること。
  • 勤務中はマスク着用を義務づけていること。
  • 利用者さんにもマスク着用をお願いしていること。
  • 飛沫感染の恐れのある声を出すレクは中止していること。

上記の内容を記載したお手紙をご家族へ送付し、施設の安全性を伝えます。このひと手間があるのと無いのでは、反応が全く違ってきます。

ソーシャルディスタンスの工夫

これは重複して書きますが、利用者さん1テーブル制を導入しました。

ソーシャルディスタンスといっても感覚的に離れるという事だけでは不十分です。利用者さん1テーブルという分かりやすいソーシャルディスタンスをすることで安心につながってきます。

クラスター予防のために行う事

クラスター予防のために行う事は様々ですが、箇条書きにすると

  • 37.0以上の発熱がある利用者さんは隔離対応する。
  • 37.0以上の発熱があるスタッフは勤務をしない。
  • 換気及び消毒のクリーンタイムを設ける。
  • クリーンタイムは11:00/13:00/15:00に行う。
  • クリーンタイムで使用するものは使い捨てを徹底する。
  • 昼食で使用する食器類は高温滅菌を行う。
  • 包丁、まな板、お箸、フォーク、スプーンなどは紫外線滅菌を行う。
  • 利用者ひとり1テーブル制を導入する。
  • コップなどの食器類は乾燥機で乾かす。(布巾を使わない)
  • マイクロ飛沫感染予防のため空気の流れをつくる。
  • うがい、手洗いを徹底する。
  • 送迎車の消毒を徹底する。
  • デイサービス利用中はマスク着用を推奨する。
  • デイサービス勤務はマスク着用を義務づける。
  • 排煙口の解放と24時間換気システムを使って随時空気を入れ替える。

利用者の隔離に対する人権配慮

  • マンツーマン介護を行う。
  • Netflixで好きな映画を見放題でテレビ独り占め。
  • 個室とベットを用意する(しんどい方用)

レクリエーションの工夫

カラオケやパタカラ体操をいったん休止しました。飛沫の飛ぶ恐れのあるレクリエーションはすべて休止。

ボードレクや体操を中心にリハビリプログラムを組みなおしています。

あとがき

新型コロナで3密の職場であるデイサービスは、今後もたいへんな運営を強いられそうです。

今後、怖いと思うのが冬場にかけてです。インフルエンザも怖いですが、新型コロナは本来は冬に活発化するウイルスです。

令和2年8月の時点で、第2波といっていますが、本当の第2波は12月頃からでしょう。それまでにある程度の準備と、クラスターが発生した時の対応をマニュアル化しておかないと、後手をとり信頼を失ってしまいます。

怖いのが風評被害。今の時点で多くの福祉施設がクラスターを発生してしまっていますが、その後の運営で利用者さんが戻ってきていないようです。

一度、悪い印象がつくと後々の運営まで影響を及ぼしてしまいます。明日は我が身として気を引き締めて頑張っていきましょう。

追記します。

令和2年11月現在

第三波と言われ緊急事態宣言の噂までちらほら出てきました。上で書いたとおり、気温が下がってきて乾燥してきた環境下で新型コロナは再度猛威を振るってきています。

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この時点でスタッフ視点で物事を見て判断しないといけません。仮にスタッフが新型コロナの濃厚接触者及びPCR検査陽性が出た場合、会社や責任者は当事者になってしまったスタッフ目線で考え、不安な気持ちに寄り添う声掛けと対応が求められます。

もし会社主体の考えや、責任者の保身で動いてしまったら、吉本工業のような状況に陥ると思います。芸人が芸能事務所に対して不信感を募らせる結果になったあの事件。

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現場はスタッフがサービスに価値を生みだ出しています。現場スタッフが会社に不信感を抱き、モチベーションを下げてしまえばサービスは一気に低下します。

いざとなれば会社が守ってくれる。新型コロナに感染しても暖かく復帰を待ち望んでくれる。そういった受容的な対応が「安心・安全」を作り出します。

人は安心安全が担保された環境下で、自分の能力を発揮できます。こういった環境を会社は作る。これが新型コロナに対する戦い方だと思っています。

新型コロナの本質的な問題は、人の人との絆を試されている。だから逃げず恐れず、こういう時だからこそ一致団結出来る環境を作ってゆきましょう。

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この記事を書いた人

福祉事業の経営をしてます。①小規模多機能のケアマネ②現場の介助③厨房で料理作り④体操教室など地域ボランティアをしています。
「やってみる」を軸に人生の幅を広げます。ウインドサーフィン・登山・カメラ・バイクはSV650・競馬・FX・株式投資・投資信託などなど。体験を記事にしています。

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