- 退院を勧められて、これから在宅介護をする家族にむけて
- 介護に追われて自分の時間をとれず精神的にまいってきた家族にむけて
在宅介護を続けるための以下のポイントを書いてみました。
- 苦しくなる介護をしないために
- 自己犠牲をした介護をしないために
- 抱え込まない介護を学ぶ
はじめに
ボクは介護保険制度が始まる前から福祉で働いてきました。特別養護老人ホームで働き、訪問介護でヘルパーとして働き、ケアマネージャーで家族との関わり、そして地域と密接にかかわる小規模歌機能の運営をおこないました。
現場で介護に悩み苦しんでいる家族さんの気持ちをみていると、ある一定に共通点がある事に気がついてきます。
ひとりで背負い過ぎているのです。
自分の生活を犠牲にして、家族崩壊を招かないような介護をしてもらいたいと思っています。
家族介護の現実
家族が自分の身内の介護をおこなう場合。
- 働きながら
- 自分の時間を削って
- やりたいことを諦めて
親の介護をしているわけです。また家族介護は、そこに給与も発生せず、自己犠牲の上に成り立っている場合が往々にみかけます。
精神的な負担が大きいのは
- 朝の忙しい時間に介護に時間を割かれる。
- 夜中のトイレ誘導やオムツ交換で寝不足の日々が続く。
- まとまった自分の時間がとれず落ち着く暇がない。
だんだん精神的に追い込まれて、在宅介護が同居家族にとって苦しい事になってきます。やがて苦しみは憎しみになり虐待やネグレクト(介護放棄)に繋がってゆくケースもあります。
この悪循環は他人事ではなく、親の介護をしないといけない状況になれば、自分の身にもふりかかってきます。とても身近な問題なのです。特に2025年には団塊世代が後期高齢者(75歳)になってきます。団塊ジュニア世代が介護に苦しめられる時代がすぐそこまで迫っているのです。
ラクして介護をする方法
ここでは、いかに在宅介護を自分の生活に組み込んでいくのかを提案してゆこうと思っています。
家族が在宅介護を行うにあたってのテーマは、「いかに介護をしない在宅介護を行うか」です。
日々の介護が苦痛であっては続きません。介護するほうも、されるほうも「とてもラク」そして「笑いがある」という小さな積み上げがとても大切になってきます。
介護だから全部手伝うというスタンツでは、かなりの負担になります。全部するほうはたいへんだし、介護されるほうは出来る事も介護されるので次第に依存的になり、介護量がどんどん増えていいきます。
介護は全部するものではなく、自分の出来る事はしてもらうというスタンツで行うものです。すると介護の負担がかなり軽減されます。
在宅介護の視点と実践
要介護者の身体的な能力に注目しましょう。出来ないと決めつけて、全部を介護してしまえばしんどくなります。ピンポイントで介護をするようにしましょう。そのためには・・・
何が出来て何が出来ないのか?を知る
出来ない事と、出来る事を知り、介護は出来ない部分のみを行います。自分で立つ事が出来るのであれば、自分で立ってもらいましょう。歩けないのであれば不安定で歩けないわけですから、持つところを作りましょう。支えがあれば歩けるハズです。これは手すりの設置で解決します。
立ち上がる事が出来るのだから立ち上がってもらいましょう。
手すりをつけて安全にひとりで移動できるようにしましょう。
ズボンにベルトやボタンがついていませせんか?ゴムで脱ぎ履きしやすいものを用意しましょう。そして少し大きめがいいです。ゆったりしていると自分で脱ぎ履きしやすいです。これで手伝わなくても自分で脱ぎ履き出来たら解決です。
紙パンツの大きさはあっていますか?少し大きめで脱ぎやすいように、履きやすいように工夫すれば自分でできませんか?もし尿だけであれば尿取りパットの交換だけ自分で出来ませんか?工夫次第で自分で出来るようになり介護いらずになる可能性があります。可能性を探りましょう。
もしこれでも解決できなかったら、ここで介護を行います。
このように、トイレに行く行為を分解すると
- 立ち上がる
- 歩いて移動するトイレにつく
- ズボンとパンツを下ろして用を足す
- 紙で拭く
- パンツとズボンを上げる
- 手を洗う
- 歩いて移動して自室へ戻る
この①~⑦の行為のなかで、どこが障害になってトイレが出来ないのか?なぜ出来ないのか?を分析しましょう。
出来るところは自分でしてもらう
大切な事なので重ねて書きます。出来る事はしてもらいましょう。出来るように環境整備をしましょう。それでも出来ない時に介護をしましょう。
環境を変えるだけで出来ちゃう事がある。
- 洗濯物を洗う事が出来る。
- 洗濯物を干す事が出来ない。
- 洗濯物を取り込む事が出来ない。
- 洗濯物を畳んでタンスに収納する事は出来る。
この場合は、干す時の高さが問題なケースが多いです。手を自分の肩より上にあげる事が負担なケースです。だったら干すところを肩より下にもってこればいいわけです。物干しの高さ調整だけで解決する事が多いです。
自分の洗濯物だけでも自分で洗濯出来れば、家族は大助かりです。デイサービスから帰って来て自分でタオルや着替えたものを洗濯出来ればなにも手がかかりません。
ラクして介護で好循環
これだけで家族の介護負担は減り自分の時間がもてます。そして自分の事を進んでするわけですから活動量はおのずと増えます。活動量が増えるということは生活リハビリになっているということで、体の機能を衰えさせず自宅で自立した生活がおくれます。
自宅でひとり留守番することが出来れば、家族は買い物にもいけます。趣味の時間をもてたりもします。
後は本人のやる気次第です。自分のことを自分でする事を諦め続けると、活動量は低下し、意欲もどんどん低下します。しかし、病気で出来なくなってしまった事が出来るようになれば意欲も増してきます。希望が見えてくるからです。
介護を必要とする本人の意識改革
そのために、退院を目前した本人の意識改革から始めます。
暮らしなれた自宅で生活し続けるために、繰り返し問いかけてやる気を促しましょう。
介護をする家族の意識改革
平行して、家族の意識改革も必要です。なんでもしちゃう介護から、待つ介護へ方向転換する意識です。
目の前で手間取っていると、ついつい介護をしてしまいます。そのほうが早いからです。しかし家族が安易な考えで介護をしちゃうと、どんどん出来なくなってきます。なんでもかんでも介護しちゃうと、自分で動かないので活動量が減り筋力が弱るからです。そして介護をするほうもどんどんしんどくなってきます。出来ない事が増えるからです。
だから出来る事は時間がかかってもしてもらいましょう。待つ介護ですよ。
ラクして介護は寝たきり防止になります。
だから本人の自立意識も必要になってくるし、家族の手伝わない意識も必要になります。これが出来て好循環が訪れるのです。
このように できることをしてもらうことは 介護の負担を大きく減らすことが出来るだけでなく、本人の生活意欲も高めて、寝たきり防止につながります。家族は介護負担の軽減ができて生活にゆとりを持つことが出来ます。
介護保険を利用しよう。
介護保険でデイサービスを利用して施設で入浴してもらえれば家で入浴する必要もありません。デイサービスで楽しくリハビリして顔なじみを作る事が出来れば社会参加ができていきいき暮らせる事が出来ます。デイサービスに行ってくれれば、家族はその間は安心して働く事が出来ます。介護保険の住宅改修で手すりを設置出来れば、自宅のなかをひとりで移動することができます。
家族の介護負担軽減のためのサービス例
安心して働くために日中はデイサービスに行ってもらう。
認知症予防でデイサービスで他人と交流してもらう。
旅行の時は、ショートステイで泊まってもらう。
詳しくは、ケアマネージャーに問い合わせて相談してみてください。
介護保険制度は、ケアマネージャーでも理解が難しいところがあります。ひととおり介護保険について勉強しておいて、わからないところを明確にしておいてからケアマネージャーと相談するのがお勧めです。ケアマネージャーも様々です。あたなのニーズに対してしっかりアドバイスもらって、的確に要望を伝えるために知識はつけておいたほうがベストです。
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