パーキンソン病の筋肉緊張とリラックス関係:発音訓練で気づいたこと

ボクは小規模多機能居宅介護で働く、主任介護支援専門員です。

パーキンソン病を患う利用者さんがいます。その方との取り組みを記録に残しながら、共に歩んでいこうと思います。

目次

パーキンソン病について

パーキンソン病は、脳の特定の領域がゆっくりと変性して進行する難病です。ドパミン神経細胞が減少することで、体の動きが悪くなってゆく病気。

利用者さんは、服薬治療を行っているようです。クスリの効果がある時は体が動き、話せる事も出来ます。クスリの効果が薄れてくると医師疎通が難しくなり、動きも悪くなってきます。

話すトレーニングを考えてみる

自分の意志を伝えたい

意欲MAXで前向きポジティブな方なので、自分の意見はしっかり伝えようとする方です。なので積極的に話をしてくれますが、まったく聞き取れません。

「息を吐いているだけ」のような感じ。だからコミュニケーションは文章では不可能だと思いました。だったら「単語」でいい。短く単語を並べてもらうだけでも、何かを読み取れます。

なので、単語を発音出来たらコミュニケーションは成り立つと思ってます。

トレーニング案

トレーニングとしては、単語の発音。パ・タ・カ・ラの入った単語を列挙してみました。

パン パソコン パスポート パジャマ パーティー
パイナップル パレット パンダ パトカー パラソル

タクシー タオル タイトル タイム タピオカ
タンス タコ タイヤ タイプライター タンバリン

カメラ カレンダー カラス カレー カード
カーテン カバン カサ カプセル カフェ

ラジオ ランチ ランナー ライト ライオン
ラベル ラケット ランプ ラップ ランドセル

気づきと仮定

話そうとか集中すると、脳の回路が騒ぎ出すようです。なかなか言葉が出てこない。反対にリラックスしていると発語が上手くいく。

  • 集中すると、話せない。
  • リラックスすると話せる。

ここに配慮しながらトレーニング。リズムをつけてみることにしました。

利用者さんの肩を叩きながら、ボクが「パン」と言い、次に利用者さんが「パン」と発音する。ボクが「パソコン」と言い、次に利用者さんが「パソコン」と発音する。利用者さんの発音が聞き取れれば次に進む。常にリズムを取りながら。

リズムをとることがリラックスに繋がればいいなという事です。

実際にはリズムをとるというのは、なかなか難しいものがありました。

このトレーニングで発語練習をした気づきですが、トレーニングしようと脳を使いだすと、体全体が震えてくる。首すじに血管がわき、目を見開き、頭を横に震わせてくる。

脳の働きが活発になると、体の動きが激しくなる。

トレーニングを辞めて「マインドフルネス。何も考えないでリラックス」と声を掛けると、体の動きが落ち着いてくる。

脳を休ませると、体は動きは落ち着いてくる。

これどう考えても脳の動きが筋肉の動きに連動しているとしか考えつかないわけです。脳の動きに連動した緊張?が筋肉の動きとして表れ、発語の邪魔をするのかなと仮定しました。

脳の動きと体の動きは連動していることは確認がとれました。肝心の発語のほうは、かろうじて聞き取れます。単語ですが確かに聞き取れるのです。

利用者さんにランダムに選んでもらって、ボクが聞き取れるか実験をしてみましたが、ちゃんと聞き取れました。つまりちゃんと筋肉が動いてくれている事が証明されたという事です。

レクリエーションについて

その日のレクリエーションは、半濁音の単語を思い浮かぶまま出すというレクリエーションでした。

パ・ピ・プ・ぺ・ポのつく単語を出していくレクです。

このレクリエーションの様子を観察していたら、利用者さんの声はかすれて出ていませんでした。

フッと吐く息だけが聞こえ、筋肉(声帯)が動いていない様子です。

このことからわかった事は、話すトレーニングであらかじめ決められた単語は発音出来る。しかし、自分で考えた単語を云おうとしたら発音出来ない。

つまり、またここで脳と筋肉の関係です。

自分で考えるというプロセスを挟むと、脳が活発に動くので、筋肉がこわばり緊張して、自分の意志に反した動きをする。だから発音が出来ないという仮定を設定できてしまうわけです。

結論として

自分の意志を伝えようと、脳が活発に動き出せば、筋肉が緊張してしまい、結果的に発音できずに伝えられないといことになるようです。

発音トレーニング

発音トレーニングでは、あらかじめ次の事を伝えておきます。

  • 発音しようと構えてしまうと筋肉がこわばって逆効果なのでリラックスを意識する。
  • 発音出来なくてもいいやと気軽に取り組む姿勢で行う。

焦らせないように、トレーニングを行う際は、出来ない事に意識を向けない声掛けを行う。出来たところを褒め元気づける。

レクリエーション

トレーニングでも同じく、リラックスして参加してもらう。

聞き取れなかった時に焦らず、別にかまわないといった姿勢で取り組む。

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この記事を書いた人

福祉事業の経営をしてます。①小規模多機能のケアマネ②現場の介助③厨房で料理作り④体操教室など地域ボランティアをしています。
「やってみる」を軸に人生の幅を広げます。ウインドサーフィン・登山・カメラ・バイクはSV650・競馬・FX・株式投資・投資信託などなど。体験を記事にしています。

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