その人の人格とか社会的立場であったり、その方の歩んできた人生を捉えてゆくと、歩んできた人生で挫折もあっただろうし、反対に覚悟を決めて貫き通して乗り越え成し遂げた事もあっただろう。
その方の今を形作っているものは、その人の生きてきた経験から得た、その人だけの信念であり、それが人格をつくり性格をつくり、病気になった後の症状の受け止め方に繋がって行く。
しかし、医療や介護で利用者さんをアセスメント(課題分析)する場合は、決まって医学的な視点や、ADL(Activity ofDaily Living)身体機能に着目して分析を行う。
これでは本当の意味での課題分析が行えたというわけではない。疾患名に基づく症状の分析であって、その人らしさを含んだ課題分析が行えていない。
課題分析の先にある、治療方針やリハビリ計画、ケアプランに本人をのせてゆくためにも、本人らしさを色濃く出した個別プランであるのが望ましい。
ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)国際生活機能分類を世界保険機構(WHO)が提唱した。
ICFのイメージ
内容は医学モデルと社会モデルの統合。人が生活するのに必要なすべての機能、そして生活環境から個人の特徴までも取り入れて分析する。
しかも、これらのカテゴリーは相互に作用しあう。相互に絡み合い行動にうつるというところまでを踏まえて、その人を捉えるという考え方である。
例えば、高血圧がある。だから塩分控えめの食事を心がけて、降圧剤を服用する。といった捉え方ではなく、今までの食生活から食事の好みを知り、高血圧で脳梗塞の予防という観点から本人には努力する意志があるのか?また食事を作る家族は協力体制にあるのか?などを掘り下げて捉えてゆく。
それゆえに、例えパーキンソン病になり筋肉がこわばり思うように動けなかったとしても、その症状をどのように捉えているのか?受け入れて前向きに人生を楽しむ姿勢なのか?受け入れられず悲観的になり閉じこもりでうつ傾向なのか?でケアマネジメントは全く変わってくる。
この本は、ICFの観点を説明しつつ、その概念をケアプランに落とし込む作業を事例をつづりながら説明してくれている。
もくじ
ICFの視点とケアの専門性
試論ノートに学ぶ
ICFの視点でケアプランを考える。
ICFの視点を活かしたケアプラン作成のプロセス