デイサービスの空間を価値化する

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新型コロナ共存の暮らし

新型コロナウイルスと共存することになりました。スタッフも利用者さんもマスクをするようになり、息苦しさでイライラするようになりました。

心理的な癒しと落ち着ける空間を作ることで、3密で働くスタッフの心労に配慮し、利用者さんは心地よさを得る。マスク感のイライラ解消になればと考えています。

そんなデイルームをつくり、それをまるっと価値に仕上げてしまおうという試みです。

今日の記事は

  • 気持ちよく働ける空間
  • デイサービスを安心して利用できる空間
  • そのために出来ること

について思うところ、実践しているところ、まだまだ改善するところを書いていこうと思ってます。よろしくお願いします。

気持ちよく働ける空間について

換気をする

朝、出勤して一番にする事は換気です。デイルームの匂いが気になるからです。イスや安静室のベットにつく加齢臭。利用者さんが利用するものには、すべて加齢臭が漂います。

厨房からは食品や油の匂いや、着脱室からは前日に干したタオルなどの匂いがあります。

夜中にデイルームにたまった匂いを、空気の流れで押し出す事。これが出勤して一番にすることです。

嗅覚は人間の原始的なものであり、無意識の情動や記憶などの認知的機能を刺激することにもつながります。ストレス社会と言われている現代社会において「空間の空気をキレイにする」という潜在的な需要は大きいと思っています。

アロマで感染予防をする

換気をしたのちに行う事は、アロマディフューザーで空気に香りをつけてゆきます。最近はユーカリオイルを使用しています。理由は室内殺菌効果があるのと、消臭作用も働くからです。

お庭と観葉植物に水をやる

デイルームに自然を取り入れて癒しの空間をつくっています。木々を見るだけでも血圧低下や脳活動が沈静化すると言われています。落ち着ける空間づくりに観葉植物を取り入れています。

デイルーム全体の物品の整理整頓をする

整理整頓をすることで、気持ちよく働く環境をつくってゆきます。ひとつひとつ確認しながら頭を整理してゆく。乱雑な環境には良い組織は根付かないのだそうです。

現場スタッフは介護業務で忙しい。管理者のボクが全体の環境を観察して、見た目がキレイで気持ちいい空間を作ります。

  • 電気のコードを類をまとめたり
  • メダカの水槽の掃除をしたり
  • ソファーや椅子の敷物のシワをとったり
  • 食器の並べ替えをしたり
  • カウンターの物品整理をしたり

これは終わりのない作業。気がついた時にちゃちゃっとやってしまいます。

利用者さん目線での空間づくり

観葉植物で癒しの空間と間接照明

無機質なデイルームに木の温もりを飾ります。観葉植物にライトを当てて、影をつくり壁に立体感をつくります。奥行き感と自然の癒し空間を演出します。

インテリアとしても機能する食器配置

デイサービスなどの福祉で使うカップは、持ちやすい、落としても割れないというプラスチックの食器が多い。これは介護者から見れば効率が良い。だけど食事は見た目からといいます。食器を陶器にし、食器棚に飾る事でもインテリアとして機能させる。少々の無駄を入れる事で楽しみになったりもします。

鏡を使った広がり感

鏡は大きいほうが良く、限られた空間を広く見せる効果があります。しかし利用者さんはあまり鏡を好まない傾向なので、背丈より少し上に鏡を設置します。鏡の価値は、若者と高齢者とでは若干違うようです。

施設臭をなくす陶器の洗面

デイサービスといえば福祉施設。施設を建設する工務店も福祉施設の設計ひな形があります。それに沿って建設するとおのずと同じになってきます。洗面といえばTOTOの手すり付き洗面台がひな形。

全体の雰囲気をつくってゆくとき、このTOTOの手すり付き洗面台が雰囲気をぶち壊してしまったりします。なので、これを居酒屋のような陶器でお洒落に攻めました。

福祉施設としては「手すりついてない」というツッコミがくるところなのですが、これは蛇口を改造してリバウンドしました。

ソーシャルディスタンスを意識した机の配置

これは新型コロナウイルスと共存生活ゆえの新しい空間の価値。安心安全という価値が空間に加わりました。その為に「おひとり様ひとテーブル」という形をとっています。

テーブルを共有スペースではなく、自分だけの専有スペースにしています。新型コロナからの新しい形の代表ですね。これをもってデイサービスを安心して利用できるという安心価値なのだと考えています。

ひとりの時間を大切に出来るカウンター

福祉理論では、他者との交流が社会参加と知的刺激になり介護予防及び認知症予防につながります。だからデイサービスの機能のひとつとして他者交流があります。

だけどずっと話し続けるというのは辛いものがあるし、また人の好き嫌いもあったりして社交辞令で話をしている時もあります。これは健常者でも普通のこと。社交辞令という表の顔と裏の顔を使い分ける事で円滑な人間関係を作ろうとします。

表裏を上手に使い分けながら他者との関係性に距離感を自分をつくっていたりするので、時に話し疲れたりします。

嫌な人と上手に距離をとるには、逃避場所と逃避理由が必要だったりします。理由もなく他者から離れたら「気まずい」という心理が働くからです。

だから「コーヒーを飲みにいくわー」という理由をつけて、カウンターへと逃避する。このカウンターの機能を効果的に使う事で、他者交流を促進できたりします。

他者との円滑な関係はある程度の距離感のもとに成り立つものなのである。

空間を柔らかくする丸形照明

福祉の建物で時々見られるのが会議室のような無機質な空間。とってつけたような空間に会議室にあるような蛍光灯が設置されている。この四角の照明が空間のイメージをぶちこわしていたりする。

扇風機をつかった空調管理

新型コロナウイルスの発生から、お部屋の空気の流れが重要視されるようになりました。漂う飛沫を押し流す空気の流れが感染予防につながるからです。

またエアコンから出る空調に偏りがあり、エアコンの風を嫌う利用者さんもいます。これはお食事に行ったときに経験があると思いますが、あるテーブルには冷風がモロに当たる。このテーブルで食事するのはちょっと・・・というアレです。

感染予防クリーンタイムの演出

11:00/13:00/15:00と3回に分けて行われる消毒。これをクリーンタイムと名付けています。

 
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今からクリーンタイムおこないまーす。

と宣言することで、利用者さんに「ちゃんと消毒されているデイルームなんだな」という安心感をもってもらう。

「ちゃんと消毒して安心ですよ」というメッセージ性を持たせている。「消毒します」より「クリーンタイムおこないます。」のほうがメッセージ性としては効果があるのかなと思っています。

終わりに

いろいろ空間について書いてきました。空間に価値をもたせることは、体験することに価値が出てきているからです。デイサービスは福祉サービスで介護に価値がある。そこに空間という付加価値を添える。

2025年には団塊世代が後期高齢者になります。団塊世代といえばサービスをお金で買う事に慣れた世代です。介護サービスのみを買うのではなく、スタッフの態度や環境にお金を支払うという世代になってくると思います。

SankeiBizより引用

自宅での暮らしから少し離れて、非日常の空間を提供する。そこで行われる介護サービス。様々な試みをこれからもチャレンジしてゆこうと思っています。

もちろんスタッフ全員で。スタッフのチャレンジは時間労働で金銭以外の何を得るのか?

自分の時間を売り対価を得る事も労働価値でしょうが、それだけでは介護でなくても良いわけです。福祉業界で働くからこそ自分に得れるもの。それは自分で探すしかない。そういったチャレンジそのものが労働価値になると思っています。

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この記事を書いた人

福祉事業の経営をしてます。①小規模多機能のケアマネ②現場の介助③厨房で料理作り④体操教室など地域ボランティアをしています。
「やってみる」を軸に人生の幅を広げます。ウインドサーフィン・登山・カメラ・バイクはSV650・競馬・FX・株式投資・投資信託などなど。体験を記事にしています。

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