介護で仕事を探そうと思っている方に少しアドバイスをしてみます。
ポイントは4つ。
- 選び放題なので自分のライフスタイルに合わせて選べます。
- 労働報酬は低いですが、国から処遇改善手当てが支給されます。
- 施設によって仕事量に差があります。
- 女性が主役の職場です。
上の4つを押さえておいて
転職先の選別に役立つ情報を、以下の流れで業界を掘り下げながら説明します。
①資格で選ぶのポイント
②雇用形態で選ぶポイント
③施設やサービスで選ぶポイント
④効率的に稼ぐのなら
ボクは現場で働くケアマネージャーです。多くの現場を見てきた経験と知識で、転職を考えている人の立場になってひとつ提案してみようと思います。
この記事を読むと
転職へ向けて一歩踏み出せます。
転職選びに押さえておくポイント
選び放題とは?
介護の職場は人手不足です。まぁどの業界も人手不足なんですが、介護業界は特に人手が足りていません。
少子高齢化で高齢者がどんどん増えるのですが、働く人がおいついていないというのが現状で、カンボジアなどから外国人労働者の受け入れをすすめているといった状況なのです。
そういうわけで介護事業所は人材不足で採用に積極的。だから求職者は自分の条件と職場を選ぶ事ができるのですね。
②どの事業所も人手が足りません。
③求職者が働く場所をいくらでも選べます。
介護の仕事は給与が低いと言われていますが・・・
介護保険の財源は保険料と税金です。2025年には団塊の世代が75歳の後期高齢者になり、社会保障費は149兆円になります。つまり国家予算の半分が社会保障費です。
国はあらゆる手段で社会保障費の抑制をしているので、社会保障のなかの介護保険もおのずと報酬削減という流れになってきます。
介護報酬が削減されれば、会社の売上が減り人件費も上がらないという状況に陥ります。
これを問題視した国は介護職員の給与アップの政策をとりました。これが・・・
介護職員処遇改善加算
特定処遇改善加算
つまり、会社の収入にはならないお金、介護職員に配るためのお金が支給されるようになりました。
介護職員処遇改善手当が支給される。
施設によって仕事量に差があると聞いたのですが?
これは入所者の心身状態により必要な介護の程度は違います。比較的元気な方がいる施設に比べて、寝たきりの率や認知症の方の入所が多い施設ほど介護量が増えます。
施設の方針でリハビリを積極的に取り組んで寝たきり予防・脱車イスを推進している施設は、「自分の事を自分でする・出来るようになる。」が徹底されているので、介護量が少ない傾向にあります。
反対に、寝たきりの多い施設は、入居者のすべてに介護を必要とします。おのずと重労働になってくるわけです。
・利用者の要介護の割合を調べておきましょう。
厚生労働省
全国の介護事業者にはネット報告が義務づけられている。ここで調べる事ができる。
女性が主役の職場です。
ボクが施設で勤めている頃は措置制度(介護保険が始まる以前の制度)でした。その時代は男性スタッフが女性利用者の介助をするのは普通に見られる光景でした。
今ではサービスの質も上がってきており、利用者のプライバシーや羞恥心に配慮して、危険でもない限りは女性のスタッフが現場を担っています。
男性職員は女性スタッフが出来ない部分を後方支援っといった形で業務をします。例えば「体重の重い方を抱えてストレッチャーに乗せる」特殊浴などは男性じゃないと出来ない業務です。
・男性は女性の出来ない介護をカバーします。
[affi id=1]
ここからは個人の状況に応じた転職パターンを考えてゆきます。
資格で考察する転職パターン
介護の資格は大きく3つに分けれます。
②初任者研修修了者・ヘルパー2級
③介護の資格はもっていない。(無資格)
介護保険の事業は、サービスによって人員基準が決められています。「常勤で介護福祉士が必須」とか、「初任者研修(ヘルパー2級)の者でしか訪問サービスを行えない。」とかです。そのポイントを押さえる事で面接を有利にすすめる事ができます。
介護福祉士の国家資格を持っている人
訪問介護のサービス提供責任者。責任者として介護チームをまとめるのが職責になります。
デイサービスの生活相談員。大小さまざまなデイサービスがありますが、生活相談員を常勤で1名以上置かないと営業できません。人員要件で常勤で介護福祉士が含まれています。
デイサービスの営業日に必ず生活相談員は配置する必要があるので、常勤スタッフ以外に、さらにパートで介護福祉士は必要な事業所もあります。
他には介護福祉士の配置率で介護報酬額が変わってきます。事業所としては売り上げをあげたいので介護福祉士は真っ先に採用したいと思います。
人員基準の資格用件で介護福祉士を配置しないといけない。
パートの介護福祉士が必要なケースがある。
介護福祉士の配置率で介護報酬は増減する。
初任者研修・ヘルパー2級を持っている人
訪問介護のサービスを提供する事が出来る資格です。反対に無資格者が入り込める余地のない部分です。
これを持っている方は訪問介護事業所で重宝されます。今は新規利用者を獲得しても、サービスを提供するスタッフがいないという所がほとんどです。
訪問介護事業所が増収増益を目指すならば、この資格をもっている人を多く抱えている必要があるのです。
初任者研修終了者・ヘルパー2級
介護の資格を持っていない無資格の人
無資格の方は、施設サービスで活躍の場があります。
またデイサービスでも現場スタッフとしてなら無資格OKです。人員基準で現場スタッフに資格用件が定められていないという理由があります。
ただ、介護サービスはサービス業の側面をもっています。接客のスキルのある方はかなり重宝されると思います。
デイサービスでも無資格OK。
サービス業の経験があれば有利。
運転免許があれば有利。
[affi id=1]
雇用パターンで考察する転職パターン
常勤で働く場合
常勤は介護福祉士で責任者の募集が圧倒的に多い。
常勤で無資格の募集も稀にある。無資格でも人員基準に数えられる事が出来るサービスもあります。小規模多機能型居宅介護というサービスでは現場スタッフ常勤1名(資格用件なし)が配置条件ってのがあります。資格を持っていなくても常勤を狙える穴場ですね。
パートで働く場合
パートで働くほうとしては労働時間と休憩の兼ね合いがあります。1日4時間程度で働くのが効率がいいです。
そうなれば肉体労働になります。入浴・おむつ交換・体位変換など常勤スタッフの手の足りないところを埋めるイメージです。
時に厨房の募集もあります。デイサービスでもお昼ご飯は出しますから、午前中の厨房業務で募集がでたりします。特に難しい料理はないので家庭で普通に家事をしている範囲でも出来る業務です。
1時間からOKの募集に興味をもったという人
求人広告で1時間~OKという記載あったら、それは入社後の交渉があると思っていてください。
「○○さんもう少し働けない?」と言われて、いつの間にかっていうパターンです。
つまり人材不足から来る苦渋の募集方法です。出会わなければ交渉さえ出来ないわけですから。
パートは4時間が効率が良い。
介護だけではない。厨房もある。
1時間からの募集は、就労後に交渉がある。
[affi id=1]
施設やサービス種別で考察する転職パターン
病院で働く場合
看護助手としての役割ですが、看護は看護師で手一杯です。その他の介護の業務を担います。
社会的入院といわれる方がほとんどなので、寝たきりの方がほとんどです。
かなり重労働になりますが時給は比較的高いです。介護業務がほとんどで、サービス業の側面の比重は少ない傾向です。
なので、対人業務が苦手で黙々と身体介護をする方なら向いていると思います。
時給は高め。
特別養護老人ホーム(有料ホーム含む)で働く場合
入居者へのサービス提供です。要介護3以上の方が入所しています。ですが要介護3の人はほぼいません。重度の人で寝たきりや、体が元気でも認知症があります。
老人ホームの運営するデイサービスは20名以上で大規模デイがほとんどです。いろんな症状の利用者の介護するので、介護スキルに磨きがかかります。
送迎はタクシー運転手をしてた人が行う感じで、介護業務に専従できる環境です。
入浴・午前レクレーション・食事見守り・食事介助・午後の運動レクレーションをするなど、慌ただしく毎日が過ぎ去ってゆきますが、スタッフも多いのでチーム連携が要になります。
介護スキルを現場実践で身に付けられる。
サービス付高齢者住宅で働く場合
施設のようですが、これは在宅扱いになります。ビジネスモデルが賃貸住宅です。中の介護サービスは訪問介護になります。なので初任者研修終了者及びヘルパー2級などの資格が必要です。
一時期は全国的に流行りとなり注目を集めましたが、年々経営状態は厳しくなってきています。理由は介護報酬が訪問介護を中心に締め付けられてきているからです。
売り上げを上げようと要介護度の重い方。要介護3・4・5の受け入れが優先されている傾向です。入居者は寝たきり及び認知症といった方々です。
また開設が古いサービス高齢者住宅ほど入居者の高齢化に伴い寝たきり率が高くなっています。
そういった理由から介護量の多い職場になってくるでしょう。体力勝負です。そのぶん時給も高くなる傾向で、特に夜勤手当てが良い印象があります。
重度で認知症の方が多くなる。
夜勤手当がよい傾向。
居宅サービス事業所で働く場合
訪問介護・デイサービスなど大小様々に事業所が乱立しています。建物にお金をかけている事業所は、団塊の世代が介護サービスを受ける時に選ばれるでしょう。
倉庫をデイにリフォームしていたり、古民家を改装していたり、テナントで狭い面積に利用者を詰め込んでいる事業所は、選ばれないために認知症のみの利用に変わってゆくと思われます。
そしてスタッフを多く抱えて、利用者も多い中堅規模の事業所は経営が不安定になってゆくと思われます。大きいところほど売り上げ重視になり、スタッフも過度な労働を強いというのを良く耳にするからです。
その理由は、介護保険の改正が経営に影響を与えるからです。大きければ大きく影響されます。まず介護報酬は上がる事はないでしょう。
反対に小さな規模で行っている事業所ほど安定しています。それは先行投資をせず銀行への返済がない。そして家賃などの支払いがない。経営者の自己資産でまわしているといった傾向なので必要最低限の収入があれば成り立つからです。
ゆえに定時で終わるところが多いですが、小規模なので人間関係が濃密になります。それに家族経営をするのが大半なので、風通しが悪くなる傾向があります。小さい規模ならばワンマン経営がほとんどでしょう。
それに小規模事業所ならば役割分担とかありません。営業から現場まで、なんでもこなせるマルチに動ける人材が力を発揮します。その働きを期待されるぶんしんどいでしょうが、ハマれば働き甲斐は12分にあると思います。
ボロい建物は認知症の利用者が多くなる。
中堅規模はブラックかも?要注意。
小規模事業所はマルチプレイヤーが求められる。
[affi id=1]
稼ぎたいなら選択肢はひとつ
夜勤狙いでいくことをお勧めします。人手不足のなか夜勤の人材は見つかりません。そのぶん人件費も高騰しています。
将来を福祉業界で考えている方へキャリアアップイメージ。
まずは現場スタッフで働いて下さい。初任者研修を受講して経験年数を重ねたら介護福祉士へ挑戦。その後はケアマネージャーの試験にチャレンジして現場を離れてマネジメント業務に移行。
今後は地域包括ケアシステムで地域に根差した活動をする事が求められます。いきいき百歳体操や地域のサロンなど積極的にボランティア活動をして地域のパイプをつくることが大切です。
次第に地域で顔が売れてインフルエンサーになってくるので、地域の介護相談や孤立した独居世帯へのアプローチを行えるようになれば、社会福祉協議会や地域包括支援センターで困難事例に対応するスキルが身につきます。公的色の強い社会福祉協議会や地域包括支援センターの職員を目指すのもありだと思います。
または、起業し小規模事業所を立ち上げるのもありでしょう。
失敗しない転職をして、
福祉業界を担う人材になれるよう応援しています。
コメント