福祉事業をしてもう20年以上になりました。事業を始めた頃から介護保険事業を収益の柱としてやっています。好きな仕事ではないですが、出来る仕事であることは確かです。
やり始めの頃の2000年から周りに云われてきたのは、「介護保険で事業を拡大しすぎるな」という事でした。先見の目を持っている人たちは、介護保険が将来的に破綻を迎えるだろうという事を見抜いていたのだと思います。
国のいいなり事業
介護保険は社会保障です。社会保障にかかっている予算は、国家予算の約半分を占めます。当然、国は社会保障費の抑制に舵を切ります。すると介護報酬が減らされます。
加えて少子高齢化を迎えて、生産人口は減ってゆきます。生産人口が減れば求人倍率が上がります。すると人件費が上がるわけです。
利用者ひとりあたりの売上単価が下がり、人件費が上がるという構図が生まれます。だから手を広げ過ぎるとダメだという事なのです。
手を広げすぎない目安
手を広げ過ぎるなといいますが、手を広げるボーダーラインはどこかというと余計な支出を生じさせないラインです。短期借入金をつくらないラインです。借金をして事業をするのであればやめておけという事です。
借金をすると利息がつきます。新規事業をする。売上が下がる。だけど人件費は上がる。売上はあるけども利益がない。だけど借金を返済しないといけない。こうなると廃業です。
この道を歩む会社は、大きく手広く介護保険事業に投資した会社が陥ります。数パーセントの介護報酬の増減は、大きな売上があるところほど、大きな影響を受けます。同じ事をしているのに、利用者も減っていないのに、売上だけは大きく減り、人件費は相変わらずかかり、下手したら最低賃金なんかは毎年のように上がり、毎月の返済額も減る事はない。
大きな影響を受けて、迅速な対応を求められ、採算不可な事業はすぐに撤退しなければ、大きな負債だけが膨らみ続ける事になります。
反対に小さく介護保険事業を行っている。言い換えれば会社の資産のなかで介護保険事業を運営しているのであれば、人件費が上がっても固定費はかかっていません。建物は会社の資産なので賃貸料はいりません。借金もしていないので毎月の返済もありません。事業を縮小すればするだけ固定費も小さくなります。売上は小さくとも利益はしっかりだしているわけです。
そんなわけで、介護保険事業は小さく手堅く社会貢献と割り切って考えておくほうが良いという事です。