8月20日「NHK創立記念日」

NHK創立記念日と受信料の歴史

8月20日はNHKの創立記念日です。1926年(大正15年)、東京・大阪・名古屋の3つの放送局が合同して「日本放送協会(NHK)」が設立されました。その前年の1925年(大正14年)にはラジオ放送が始まっていて、このときから受信料の仕組みが導入されていました。月額1円。今の価値にすると2,000〜3,000円くらいです。

大正14年にラジオ放送が始まり、大正15年に受信料の制度ができた。ここから「国民の負担で成り立つ公共放送」というNHKの形が始まったんですよね。日本の放送は最初からそういう仕組みだったわけです。


テレビ時代のはじまり

テレビ放送が始まったのは1953年(昭和28年)。NHKが初めて本放送をスタートし、そのすぐ後に日本テレビが開局しました。白黒テレビからカラー放送へと広がり、1964年(昭和39年)の東京オリンピックで一気に普及しました。

このときから「テレビを持っている人」も受信料を払う対象になり、ラジオとテレビの受信料は一本化されます。「テレビを持っている家庭=受信料を払う世帯」という形ですね。契約は世帯単位なので、同じ家に何台テレビがあっても1契約。ただし下宿や単身赴任で別居している場合には別途契約が必要になります。

この「世帯」という考え方は、一見公平に見えて実は曖昧です。二世帯住宅や現代の多様な家族形態に必ずしも合っていないところがあります。


放送法ができた理由

放送法が制定されたのは1950年(昭和25年)です。このとき、テレビ放送はまだ始まっていませんでした。目的は戦後の電波行政を整理して、公共放送の位置づけをはっきりさせること。GHQの指導のもと、アメリカの制度を参考にして作られた法律です。

この放送法の第64条に「受信契約の義務」が書かれました。当時はラジオが対象でしたが、3年後にテレビ放送が始まり、この仕組みがそのままテレビにも適用されていったんです。

つまり「テレビが普及したから放送法が作られた」わけではなく、「放送法が先にあって、その後テレビにも適用された」という流れです。その後テレビが普及する中で、「ただ見を防ぐために必要だ」という理屈が強調されるようになったんですね。


ネット時代の受信料

2025年10月からは新しい仕組みが始まります。テレビを持っていなくても、スマホやPCでNHKのネット配信(NHKプラスなど)を利用すれば「ネット受信料(月額1,100円)」を払うことになります。

ただし「ネット環境があるだけで徴収」ではなく、アカウントを作って実際に利用した人だけ が対象です。ここはテレビと違うところですね。

でも問題なのは「ネット受信料を払っても、オンデマンドは別料金」という点です。これだと二重徴収のように見えてしまいます。公共放送を名乗るなら、受信料だけでオンデマンドも含めて利用できるようにすべきではないか。そう思う人も多いはずです。

さらに「テレビ契約者はオンデマンドを観られないのだから、受信料を安くすべきでは?」という議論も出てくるかもしれません。ネット時代になると、単にテレビやラジオの有無だけで公平性を語るのは難しくなってきています。


支払率の現実

NHKは「世帯支払率は77〜78%」と発表していますが、この中には事業所やホテルの契約も含まれています。家庭世帯だけでみると実際には70%前後だろうと言われています。つまり「8割が払っている」ではなく「7割くらいが払っている」が実態です。

未払いの3割の中には、生活保護世帯のように免除対象なのに手続きをしていないケースもあります。学生や低所得世帯、意図的に拒否している世帯など事情はさまざま。「未払い=ただ乗り」とは単純には言えません。


NHKの財政規模

いまのNHKの受信料収入は年間およそ6,000億円。これは民放を大きく上回る規模です。例えばTBSは約3,400億円、テレビ朝日は約2,600億円ほど。NHKが国内で圧倒的な収入規模を持っているのが分かります。

さらに資産は1兆円を超えていて、金融資産だけでも8,000億円以上。内部留保も5,000億円を超えています。これほど資産を持つ放送局は世界的にも珍しいです。だからこそ2023年には、物価が上がる中で逆に受信料を値下げできた。余裕があったからできたことなんですよね。

ただし、受信料収入がゼロになったら、資産を取り崩しても1〜2年しか持たないと試算されています。現金化できない資産も多いので、実際に使えるのは金融資産に限られる。つまり、安定した財源があるからこそNHKは続いているわけで、スクランブル放送にすれば収入が不安定になり、基盤が崩れるリスクが大きいんです。


スクランブル放送を避ける理由

スクランブル放送を導入すれば「払った人だけ見られる」仕組みになるので、不公平感はなくなります。でもNHKが採用しないのははっきりしています。

建前の理由は「公共放送だから災害時や緊急時に誰でも情報にアクセスできなければならない」。でも本音は「収入が減るから」です。世帯契約で6,000億円という安定財源を確保できている今、任意契約にすれば数割の世帯が解約するのは間違いないでしょう。

つまり「公共性」と「財源の安定」。この二つのバランスの上にNHKの制度は成り立っているんです。


まとめ

  • 大正14年にラジオ放送が始まり、大正15年に受信料制度が導入された。
  • 昭和28年にテレビ放送が始まり、受信料は一本化。
  • 1950年の放送法制定はラジオを前提とした制度整備。その後テレビ普及で「ただ見防止」が強調されるようになった。
  • 2025年からはネット受信料が始まり、アカウント利用者が対象になる。
  • NHKの収入は年間6,000億円、資産は1兆円超。
  • 財源がゼロなら2年も持たない。
  • スクランブル放送を避ける理由は「公共性」という建前と「安定財源」という本音。

ネット時代の公平性をどう担保するのか。ここがこれからの大きな論点になると思います。公共放送のあり方そのものを考える時期に来ているんですよね。

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この記事を書いた人

福祉事業の経営をしてます。①小規模多機能のケアマネ②現場の介助③厨房で料理作り④体操教室など地域ボランティアをしています。
「やってみる」を軸に人生の幅を広げます。ウインドサーフィン・登山・カメラ・バイクはSV650・競馬・FX・株式投資・投資信託などなど。体験を記事にしています。

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