成長とチャレンジ

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これは息子の成長だな

「マルちゃんのお父さんと、ずっと話してたよ」

と息子が言うので、僕はびっくりした。以前、会った時は追い返されたと聞いていたから、マルちゃんのお父さんにとっては、うちの息子は敵として映ったのだろう。大切な長女にちょっかいかける、どこの馬の骨ともわからぬ、ひょろこい青年だと思ったのだろうと思う。

そんな僕の印象だったから、また再会のバトル勃発かな?てことを思いながら

「え、いつ?」と尋ねると

「この前、東京に行ったときかな」

「あ、レザーフェスで行くって言ってたやつか」

という息子の表情は、以前のような口を尖がらせた表情ではなく、穏やかな笑みを浮かべていたので、ちゃんと話せたんだなと少し安心した。そんな僕の心配をよそに息子は話し続けた。

「そのときに、マルちゃんの公演があったんだよ。その打ち上げで一緒に食事をしたんだ。」

そういえば、「最近は、劇団に入って頑張っている。」と息子に聞いたことがある。

しかし、レザーフェスとマルちゃんの公演が重なってたというわけか。まぁ、東京に行くという話だから、マルちゃんに会いに行くんだろうっていうのは想像できたが、まさか向こうの両親と食事をするという機会を持っているなんて、どんどん時間は過ぎているなと感じた。状況はどんどん変化してゆく。世の摂理だ。

「それで、何を話したんだ」

「まあ、服を作ってます。着てる服見せて。で、『工房持ちたいなと思ってるんです』とか言ったかな」

仕事で息子がデイルームに来ていたので、あたりはすでに暗かったし、デイルームの電気も半分以上は消えていた。その中で、言葉少なく交わされた東京での出来事は、なんだか懐かしいような感じを受けた。

僕も彼女(後に妻になる女性)の両親と初めて会ったとき、だいぶ緊張したけれど、温かく迎え入れてくれた。魚釣りをして食べるような、店の中に大きな川がある面白い店で、そこでいろんな話をした。緊張する時間でさえ、過ぎ去ってしまえば、なんでもない日のひとつになってゆく。大切な時間を内包しながら、過去になってゆくのだ。

まさに息子も今、そんな感じなのだろう。ただ、僕と違うところは、物怖じせずに喋っている。それだけは、なんだかリアルに想像できた。

「『お前、面白いな』って言ってくれて。『俺がお前と同じような年には、あまり何も考えてなかったけど、しっかり考えてるじゃないか』って言ってくれたんだよ。」

息子は、にこやかに話している。

それを聞いたとき、マルちゃんの親御さんが息子のことを「お前、面白いな」と言ったということは、かなり息子と話し込んだのだろうなと感じた。息子の話は、本当に独特な言い回しや、擬音を使って感覚をそのまま音にしたようなコミュニケーションの取り方をする。

さらっと話しただけでは、息子の真意がつかめない。何度かの会話の往復で、やっと息子の言いたい事の輪郭がみえてくる。息子の話を理解して、面白いと思うということは、こいつはどんな人物だろうという興味と熱量がなければ、到達できない域なのだ。

僕の実体験から、そう考えないと、説明がつかない。

「お前、かなりマルちゃんのお父さんと話し込んだな」

と言うと、

「結構な時間話したよ。公演が終わってから、そして打ち上げっていうときに話したからね」

なるほど、そうか。すると、かなり興味を持ってくれたということか。

これは僕の想像にすぎないが、今日はマルちゃんの公演があるということで、母親に「一緒に行きましょう、あなた」と言われて、渋々来たのかもしれない。(まあ、わかんない。ここはわかんないが。)多分、きっかけはマルちゃんの公演だ。そこに息子が同席していた。

本来であれば親子3人で打ち上げとなるはずのところを、息子が同席する。そこで2度目の再会で「どんなやつだろう」と探りを入れられて、「なんだか思ったやつと違うな」といった印象に変化したんだろう。

始めはしぶしぶだったが、次第に興味が出てきて、腰を据えて話してみれば、ちょっとした驚きもあった。ということだろうか。

「パパのことも言ってたよ」

と息子が言うので、

「ほう、どんな話をしたんだ」

と尋ねると、息子はいろいろ話してくれた。その話の内容を聞くうちに、点と点が繋がる感覚があった。そうかそういう事かと納得する。

以前、僕は息子と話した事があった。

これからのチーム運営の要は、人不足にどう対応するかだ。お金以外の、その人が欲しいと思っているものを見ろ。そして、欲しいものを渡してやれ。プライドであったり、承認欲求であったり、それは人それぞれだ。それが出来れば、お前に求心力が生まれる。

大半の時間が仕事に奪われるんだから、楽しんで仕事ができる環境を作ってやれ。これがお金とは別に、その職場に生まれる魅力というやつだ。楽しさは良好な人間関係になる。それはサービスの質を高め、自ら動くチームになる。すると、離職するスタッフが減る。働いていて楽しいからだ。

多分、その話をしたんだろう。そしたらマルちゃんのお父さんは、薄々気がついていたようで、そういったチーム作りを今目指しているというところなんだと息子に話したらしい。

僕と息子が今まで交わしてきた会話。夜キャンプで焚き火を眺めながら話したときでもそうだったが、転職を考えた息子に、今の職場で何を経験して、そして次へ生かすのか。そんなことを、息子と向き合って話してきた。

高校卒業からの進路選びであったり、留学の話であったり。帰国してからの就職で、ことごとくの不採用通知に、息子は「もう次落ちたら働かない」と拗ねてしまった。こんな時も、僕なりに息子と根気よく向き合ってきた。

そうした僕と息子の会話のひとつひとつが、息子の中で活かされているのだろう。話す内容は、親の受け売りだったとしても、自分の言葉で話せるということは、ほぼ身についたも同然だ。

物怖じせず話をする息子と、放たれる言葉の先に、将来性のあるプランが語られる。それは息子の成長なのだ。

これは僕のチャレンジだな

ふと時間を見ると、17時半が来るか。外は暗くなりはじめている。

今日は日曜日で、朝からずっと雨だ。息子に朝ごはんを届けてやったり、部屋の掃除をしたり、そこからエッセイを一本仕上げて、そして二本目を書いてる。

書いて、書いて、書き慣れないとダメだ。あれは癖みたいなもので、書き慣れていないから誤字脱字が生まれていく。

俺も作家として成長しないと・・・、と自分で言ってから、可笑しくなる。

なんだか笑ってしまうが、一本作品を作って応募した。あれはどうなるかわかんないけれども、僕の中では大きな、大きな一歩だった。その自信が、この僕を作家気取りにさせている。

そして今、次回作の構想を練っている。目指すは第51回すばる文学賞。

集英社の月刊文芸誌「すばる」
第51回 すばる文学賞 | 集英社の月刊文芸誌「すばる」 第51回 すばる文学賞 のページです。集英社が刊行する月刊文芸誌「すばる」の公式サイトです。最新号の内容紹介、インタビュー、書評、関連情報など、「すばる」から生まれ...

締切は2027年3月31日、未発表小説で、400字詰め原稿用紙換算100枚程度〜300枚。

今回応募した小説でも、70~150枚までの小説だった。最後のほうは、ページ数が足らなくなるんじゃないかと、もうギリギリ収めたみたいな感じだった。

だから今回は、もっと自由に書けると思う。300枚もあるんだから、ページ数を気にしないで、思いっきり自由にやってみようと思う。

HPを読んでいると、はっきり「既成の文学観に収まらないもの」と書かれてあり、選考委員の奥泉光氏は「なんだこれは?」と思わせる作品、岸本佐知子氏は頭の中から出たがっている変てこなもの、田中慎弥氏は作者自身が扱い切れない怪物のような作品と書いている。

自分の中から絞り出してやろうと思う。

「できる。できる。」

自分にそう言い聞かせて。

今のぼんやりとした構想だと、おばあちゃんを3人出そうかなと思ってて、強烈な個性を持ったおばあちゃんが老人ホームで出会い、そして交流し、事件が次々と起こる。

「なんだこれは!?」と思わせるようなものを、命をテーマに書こうと思う。

ちゃくちゃくと頭の中でイメージが膨らんでいく。

銀河鉄道の夜

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この記事を書いた人

福祉事業の経営をしてます。①小規模多機能のケアマネ②現場の介助③厨房で料理作り④体操教室など地域ボランティアをしています。
「やってみる」を軸に人生の幅を広げます。ウインドサーフィン・登山・カメラ・バイクはSV650・競馬・FX・株式投資・投資信託などなど。体験を記事にしています。

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