映画「鑑定士と顔のない依頼人」を観て思う事

映画『鑑定士と顔のない依頼人』を観ました。

きっかけは単純で、居酒屋でのちょっとした雑談の流れから気になって観た映画なんですけど、思いのほか僕と抱えている問題と映画のテーマがあって、観終わったあとも頭から離れませんでした。

物語の流れ

ストーリーは、美術品の鑑定士であるヴァージルという男の視点で描かれています。

ヴァージルは人と距離を取りながら、美術品だけを相手に生きてきた孤独な男です。人を信じることを諦めていたし、自分の心の中にも誰も入れない。

そんな彼が、ある日クレアという謎の依頼人から仕事を受けるんですよね。

最初は奇妙で不信感しかなかったクレアに、徐々に心が惹かれていきます。彼の今までで誰にも開くことのなかった心が、少しずつに確実にクレアによって動かされていく。閉ざしていた感情の扉が開いてゆく瞬間というのは、見ていてもなにかしら温かいものを感じたし、ヴァージルにとっては本当に革命的な幸せの扉を「ギィィィィ」と開けた瞬間だったと思います。

でも、その心の扉を開いた先に待っていたのは、まさかの裏切り。クレアも、周囲の人間も、みんなグルで彼の全てを奪い去ります。人生かけて築いてきた美術品のコレクションも、信頼も、自分の居場所も、全部根こそぎ持っていかれるんです。

それでも、ヴァージルは最後の最後まで希望を捨てなかったんですよね。全てが偽物だったと分かっても、彼はクレアとの小さな約束だけは信じて、カフェで待ち続けます。

自分が愛した女性との約束を頑なに信じるんです。

生きる力とは

裏切られたのに、なおも人を信じる。騙されたのに愛だけは本物だと信じたかったヴァージルの気持ち。僕には痛いほどよく分かる気がしたんですよね。

というのも、僕自身も離婚して、娘・息子・元妻と離れ離れになった経験があって。あの当時は人生のどん底で、うつ症状まで発症して本当に地獄の一丁目でした。

でも、心のどこかで「また繋がれるかもしれない」「僕が変われば何かが変わるかもしれない」と、かすかな希望を信じて行動し続けてきました。方向性を定めず全方向に向かって知識を吸収して、自分と対話をして、今までの価値観を捨て、新しい自分をを再構築し始めたわけです。

それから6年。僕がコントロール出来ない状況は少しずつ動いていて、結果的に完全な家族の形じゃなくても、息子を通じて間接的に繋がっていたりします。繋がっている事が強さを沸きたたせるじゃなく、なにかしらの希望を持ち続けることで人って強くなれるってことが本質で、壊れずに踏ん張れるんだと感じています。

『鑑定士と顔のない依頼人』を観て気づいたのは、信じる気持ちこそが僕の支えだったんだということです。人は見たいものしか見えないものですが、ヴァージルのように“あの愛だけは真実だ”と心の中で思い続けることは、決して弱さではないんですよね。

ライカー副長

彼にとっての真実なんです。

たとえ叶わなくても、信じる想いがあるからこそ、人は前を向ける。僕もきっとこの先、元妻への想いは変わらないと思います。娘や息子への想いも同等です。それが僕の人生を前へと動かしてゆく原動力になっているんだと改めて思いました。

なかなかに映画って、時々こうやって心の底に眠っていた答えを引き出してくれます。

とても有意義な良い時間でした。

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この記事を書いた人

福祉事業の経営をしてます。①小規模多機能のケアマネ②現場の介助③厨房で料理作り④体操教室など地域ボランティアをしています。
「やってみる」を軸に人生の幅を広げます。ウインドサーフィン・登山・カメラ・バイクはSV650・競馬・FX・株式投資・投資信託などなど。体験を記事にしています。

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