謝罪で押さえておくべきポイント
誰しも自分の間違いは認めたくない。自分の間違いを受け入れるより先に、相手の事に目がいってしまって、「相手が●●したから、私は●●したんだ。だからアイツが悪い。」と、自分を正当化してしまう事がある。
「私は正しい。相手が間違っている。」この発想で物事を捉えていくと、最終的に怒りの感情を使って相手を支配しようと考える。そして感情のぶつかり合いに発展して勝負がつく。ただこれで終わりではない。勝っては相手の恨みを買うことになり、無視をされたりなど相手からの嫌がらせを受ける。いわゆる報復である。
このように対立関係を続けると、どこまで行っても終わりがない。対立は人間関係の破綻を招く。仕事での人間関係は比較的に組織での枠内で収まるので簡単であるが、それ以上の関係になると積極的に交わる事になり深くなる。恋人であれば嫉妬の感情が入ってきたりして更に深くなったりする。また親子関係では関係は切っても切れる事がなにので、こじれた場合はいよいよややこしい。
人間関係を対立する勝負対象として捉えるのではなく、互いの関係を育ててゆくような建設的な関係として捉え、自分の間違いを認めて受け入れ、キチンと相手に伝わる謝罪をする事は、自分の行動に責任を持ち信頼をつくってゆく大切なことなのである。
自分の行動に責任をもつということは、相手の事を考え、相手に与える影響も含めて引き受けるということ。自分の過ちは認めるという責任を果たしながら、それを許すかどうかは相手の問題として受け止める。いわゆるアドラー心理学での課題の分離である。
謝罪は負けではなく、自分の課題を真摯に受け止め責任を果たす行為である。責任を果たすことは自尊心をカタチづくり自立心をつくる。人間関係を勝ち負けの世界観で見るのではなく、信頼を作り関係を育てる共生の世界観で「謝罪する」という行為を捉えてほしい。
さて、これから説明する事は、謝罪の気持ちを言葉で伝える時の注意点である。謝罪する場面での参考にしてほしい。
誠意もって謝る事とはどういう謝罪なのか?
具体的なポイントを5つ書くのでおさらいしてみよう。
待つ
こちらの都合ばかりを考えて謝罪をするのは伝わらない。相手の都合を無視して自分の都合を押し付けて謝るのは誠意に欠ける。だから相手が謝罪を受け入れる心の整理がつくまで待つという事が大切である。
何が悪かったのか具体的に話す
「本当に申し訳ありませんでした。」と抽象的に謝っても、何に対して謝っているのかわからなかったら、相手には伝わらない。
自分の行動が相手にどういった影響を与えて、傷つけてしまったのか、その時の状況を具体的に説明して、具体的に謝る事が大切。具体的に謝る事が出来れば、相手は「ちゃんとわかってくれたんだな」と捉えて、再発することはないだろうという安心感を抱いてくれる。安心感は人間関係のベースにある大切な感覚である。
これからどう再発防止につなげるのか?
過去してしまった事に対して謝るのは必要で、あわせて再発防止のために、どういった取り組みをしてゆくのかを具体的に説明出来るようにしておく事が大切。
失敗はそのままにしておくと失敗であるが、失敗から学び成長に繋げることが出来れば、ある意味成功である。人間関係もひとつひとつ経験を積み重ねて学びとってゆくものである。
言い訳はしない
謝罪をするときに、「そんなつもりはなかったんだけど」といったような、逃げの姿勢が少しでも見えると、相手は本気で謝っていないなと捉えてしまう。
謝罪するときは、全面的に自分の非を認めて自分の謝罪に集中する。先にも書いたが、アドラー心理学での課題の分離である。自分の謝罪を伝える事は自分の課題であり、相手の行動は相手の課題である。謝罪をすることで相手を支配やコントロールする事は責任の在り方ではない。これは謝罪ではなく相手を責める行為だという事を十分に知っておく必要がある。
相手の謝罪ポイントを探っておく
積もり積もた小さなトラブルがあり、もうダメだと爆発した事で謝罪しないと収まりつかない状況が生まれてくる。相手のメインの問題はなにかということを知っておく必要がある。メインを外れて小さな事に対して謝罪していると「なにもわかっていない」と捉えられえて逆効果になる。
勝ち負けにこだわり意地はって、大切な人間関係をつぶしてしまうことがないよう。そして人生を台無しにしてしまわないように検討を祈っている。