今日という日を、そっと記しておくよ
やっと始まりそうだよ
2025/12/6(土曜日)
今日は仕事が休みだった。朝からクリニックに行き受付の競馬好きの女性といつもの話を。そして午後からミシンを買いに息子についていく。
今日の話は、息子がミシンを手に入れた日。
ただの買い物のようでいて、忘れられない一日になったんだよ。
出会いは偶然のようで、必然のようで
息子「やっと見つかった」
そんな言葉と一緒に、息子が見せてくれたのは、工業用ミシンの写真だったんだよ。


これはね、ずっと探していたのに、タイミングが合わなかったり、送料が高すぎたり、距離が遠すぎたりして、何度も断念してきたミシンなんだ。
それが、以前「堀ミシン店」のことをブログで書いたんだけど、結局そこで買う事にしたんだよ。値段的には少し高くなるんだけどさ、そこの店主のキャラとメンテナンスの腕に価値を乗せて、2万ほど高くても堀ミシンで買おうよという事になったんだ。
話しているうちに、その店主が息子の高校の大先輩だったことがわかって、そこから会話の温度が一気に上がっていったのは以前のブログで書いたけども、今日もやっぱり盛り上がっていたよ。
店主は職人気質の人で、ミシンの話になると止まらないんだよ。その熱量が、息子のものづくりへの想いと共鳴して、ふたりの間に静かな火が灯ったようだった。僕はもう入っていけない領域だね。
息子は言ってたよ。



「いい先輩に出会えた」
たぶん、それはミシン以上の“出会い”だったんだと思う。
僕にはそんな出会いがないから本当に羨ましいよ。
■ 手にしたのは、道具だけじゃない
帰り道の車の中で、僕は少し安心していたんだよ。ようやく、息子が「自分の世界観を形にする入口」に立てた気がしたから。
頭の中に広がる景色を、現実に引き寄せるには、やっぱり道具が必要なんだと僕は思うんだ。息子はよく「頭の中では服が完成してる」と言うけれど、それを実際に手を通すには、手を動かして作るしかないだろ?
たった一着でいい。
小さな一歩で、流れは変わる。
その最初の波に、ようやく乗れそうだよ。
そう思った時に、僕はハンドルを握りながら、やっと始まったなと思ったんだよ。僕が出来る事はこれぐらい。後は息子の感性を信じるしかないけど、たぶん彼はやってくれるさ。だって君の感性が宿っているんだから。
僕ができること
何を作るのか、どんなデザインになるのか、正直、僕にはよくわからない。
でも、それでいいと思うんだよ。息子の世界は、僕の理解の外だよ。彼の話している事なんか半分以上もわからないよ。空間美とか空間を作るとか、もう僕にはさっぱりだ。
僕の役割はただひとつ。
「できあがったものを、そのまま受けとめる」
評価もしない。口を出さない。期待の形を押しつけない。僕がわけのわからないエンジンがかかると、娘に中学受験を勧めた時みたいに、振り回してしまうからね。だから僕は僕を出さないと決めたんだ。
ただ、「これが彼なんだな」と思うこと。
それが、彼の自由を守ることだと思っている。
今日という日のこと
ミシンを買った――
たったそれだけのことなのに、息子の未来が、少しだけ輪郭を持ち始めた気がしたよ。
どこに向かうのかはわからない。
でも、確かに“始まった”と感じるよ。
その瞬間を、僕は今日、見届けたんだよ。
この感覚を、忘れないように。
そっと、ここに書き残しておくよ。







