夢のなかでメリークリスマス

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【孤独】

ざわついた人混みの中にいた
遠くで汽笛が聞こえる

駅構内は人が多くて
そして誰も知らない人ばかりで

恋人たちや、友達でわいわい笑っていたり
仕事仲間だろうか、背広を着こみ話をしながら足を急いでいる

雑踏のなかで僕の隣に誰もいない
誰かいたような気がするが

行き交う人を避けるのに忙しくて
気配だけは感じるけれど
その手の温もりが遠のいてゆく

気配はおぼろげで輪郭がぼやけ
僕は自分の歩幅で歩いている

誰の歩幅にも合わせず
歩いている


【喪失】

ホームに向かうと埃っぽい空気が湿度を増してきた
汽車の汽笛が近づいてくる

汽笛のほうに視線を向けると
息苦しくなった

呼吸が浅くなりさらに胸が締め付けられた
僕は僕をかろうじて保てていたものの
目の前の光景が孤立感を浮き出させた

さきほどまでの気配は実体をもちはじめて
次第に彼女の輪郭がみえてきたが
その瞳は知らない人に向けられていた

汽笛はどんどん大きくなって
周りの音が聞こえないぐらい大きくなって
僕の叫びをかき消した

そして僕はホームでただ立ち尽くし
ざくざくと耳鳴りだけが響いていた


【繋がり】

歪む階段を降りていた
知らない人たちが階段を上ってくる
大きな影に飲み込まれそうになる
あの明るい出口へ向かいながら階段を降りていった

太陽が差し込み視界が広がる
友が誰かと話しているのが見えた

やっと僕にも知り合いがいた事にホッとした
彼のそばで僕は黙っていた

彼に話しかけずに少し離れて
僕は僕であることを思い出していた

やっと呼吸が深くなった


【存在】

寝覚めの悪い朝になった。

身体のあちこちが不明瞭で、手足の感覚が鈍く、重力がのしかかっていた。
呼吸はまだ乱れたままだったが、僕はやっと後味の悪い夢の世界でいた事を思い出した。

部屋に朝日が差し込み、散らかった部屋を照らしていた。
化粧台には埃がつもり、AHKAHのイヤリングが陽の光を浴びていた。

冷たい部屋に湿っぽい空気が残っている。
呼吸をするのを忘れるぐらい浅くなった呼吸を静かに整えた。

上体を引き起こし壁にもたれて楽な姿勢を探した。
そしてひと呼吸したところで、なんともいえない孤独感が押し寄せてきた。

こんな朝は久しぶりだ。

繋がりをは奪うものじゃなくて
そこにただあるものだ。

それだけで僕は僕でいれたのに
今朝はいろいろ欲張ったイメージが夢となって押し寄せてきた。

夢は容赦なく
僕の心をかき乱して去っていった。


【灯り】

君とは離れてしまった。

だけど僕はこのブログをとおして君を感じている。

君が読む事が前提ではなくて、君の存在を感じて僕は言葉をココに置く。

だから読まれようと、読まれまいと、僕は僕の軸で書く。
君が僕の軸になると、僕の輪郭が失われる。

期待すると歪む、動かそうとすると圧になる、弁解してもダメだ。
君に圧がかからないよう、静かに僕は僕である事が大切なんだと思う。

追わない、期待しない、動かそうとしない、弁解しない。
僕が君の安心でいるには
ただ僕は暗い海を照らす灯台のように、
静かに灯るだけだ。

それだけでたぶん君の呼吸も整ってゆくかもしれない。
正直なところ僕にはわからないけど・・・

静かに灯っているだけの言葉が、
気まぐれな風にのって
ふと誰かに届くこともある。

世界の約束

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この記事を書いた人

福祉事業の経営をしてます。①小規模多機能のケアマネ②現場の介助③厨房で料理作り④体操教室など地域ボランティアをしています。
「やってみる」を軸に人生の幅を広げます。ウインドサーフィン・登山・カメラ・バイクはSV650・競馬・FX・株式投資・投資信託などなど。体験を記事にしています。

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