ただ、気負わずにいたかっただけの話

自分の人生を中心にそえて
誰の影も追わない一日を過ごしてみる

目次

六甲山を歩いた日

ただ、自分に戻る時間を持ちたかった。


朝、街を歩いていると、
車の音や人の声が胸のあたりに近く感じて、
なんとなく落ち着かない。

車を走らせても飛び出してくる自転車や
いちいち行きたい方向に邪魔が入り待つことが多い。

町でいれば普通の事だけど
落ち着けないので僕のペースでいることができない。

これらは僕にとってノイズになっている。

ノイズの響く音が跳ね返ってきて、
心がざわつくような、そんな始まり。

でも、山道に入った瞬間、空気の色が変わる。
ノイズも消えて落ち着きが一段増す。

鳥の声や葉の揺れる音がふっと届いて、
風が頬に触れるたびに、呼吸がゆるむ。

あぁ、今日はこういう一日なんだろうな…
そんな感覚がした。


足元の柔らかさに助けられた時間

針葉樹の落ち葉が敷きつめられた道は、
思ったより柔らかくて、
足を運ぶたびに身体の奥の力が抜けていく。

急な坂もあったけれど、
気がつけばいつのまにか登りきっていて、
「頑張った」より「流れに任せてただ歩いた」
そんな感じが近かった。

山頂に着く事を目的しないことで
一歩一歩の感触を楽しむ事ができた。


山頂でふっと浮かんだもの

六甲山のいちばん高い場所に立ったとき、
胸の中に残ったのは、達成でも高揚でもなくて、
静かに「ただいま」に似た気配だった。

これまでいろんな役割の中で動くことが多かったけれど、
そういうものを少し脇に置いたときにだけ見える
小さな光みたいなもの。

自分に素直に生きていた幼少の頃。
誰の期待も背負っていなかったあの頃。
そんな自分に戻った感覚。
それが「ただいま」だったのかもしれない。

「自分の呼吸を大事にしてもいい」
そんな言葉がふと浮かんだ。


薄暗がりの紅葉

下り道、日が沈むのが早くて、
山の空気が一気に冷えた。

汗ばんだ体が急に冷えてきた。

少し不安になる瞬間もあったけれど、
暗がりの中で浮かぶ紅葉が
やさしい灯りみたいに見えて、
そのまま受け取ればいいんだなと思えた。

言葉にできない「気配」って、
案外こういうところにあるのかもしれない。

少しだけなんかわかったような気がした。


温泉の湯気の中で

下山して“金の湯”に浸かったとき、
赤褐色の温泉と湯気の向こう側に
今日一日の流れが緩やかにほどけていくような感じがした。

ビールをひと口飲んで、
なんとなく「よく歩いたな」と思う。

誰かに合わせて動く日ではなく、
きままに景色を味わうように過ごした一日。

特別な結論もなく、
ただ、「そういう日があった」というだけの話。

今日という日に無理に意味づけなんかいらない。
ただ今日を生きるという感覚を受け入れようと思った。


ふと胸に触れた出来事

帰り道の途中、LINEで登山部に登山の道のりと時間を報告した。
次の登山計画に組み込むかもしれなかったから。

このグループLINEに軽い冗談で投げられたひと言があった。

「ぼっち好きやね(笑)」

ただのノリなんだろうけど、
胸の奥が少しだけざらっとした。

今日の「ひとり」は、寂しい孤独じゃなく、
自分に戻るための静かな時間だったから違和感がたちあがった。

役割からの自分をそっと逃がしたい。
ありのままの自分に戻りたい

そんなソロ登山だったわけだけど
それをなにか軽く扱われたようなざらつきがあった。

小さな違和感みたいなものに触れるとき、
守りたかった気持ちが
一瞬だけ顔を出すことがある。


この町の“空気”について少しだけ

長く暮らしてきたこの場所には、
昔ながらの男社会の名残とか、
だんじりの文化のような強い空気があって、
優劣や上下がふっと顔を出す瞬間がある。

その中で、なんとなく心の自由が狭くなるように生きづらさがあった。

誰が悪いという話じゃなくて、
ただ、この土地に昔からある風景のひとつ。
ただ、そんな生き方に馴染めない僕がいる。

今日は山の静けさに触れたぶん、
その違いがいつもより淡く見えた。

合うか合わないか。
たぶんそれだけのことなのかもしれない。


もっと自由に

六甲山を歩いた今日は、
大きな気づきとか、
人生の答えみたいなものじゃなくて、
ただ胸の奥にゆっくり風が通るような、
そんな一日だった。

言葉にすればするほど余計になるから、
ここまでにしておくけれど…

あの静けさが、またふと蘇る日があればいいなと、
そんなふうに思った。

もう少し感じるままに生きてみたい。

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この記事を書いた人

福祉事業の経営をしてます。①小規模多機能のケアマネ②現場の介助③厨房で料理作り④体操教室など地域ボランティアをしています。
「やってみる」を軸に人生の幅を広げます。ウインドサーフィン・登山・カメラ・バイクはSV650・競馬・FX・株式投資・投資信託などなど。体験を記事にしています。

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