秋の風がやっと吹いてきてくれて、少し涼しくなってきました。
息子がパターンをひたすら描いて右手が腱鞘炎になっているようです。よく痛いと訴えます。
ミシンを見に行こう
服作りも順調でノートにびっしりと描かれた線。寸法。曲線の妙。見ているだけで彼の熱が伝わってきます。
だけど、ミシンがないから完成までいけない。
そこが彼の中でもどかしさになっているようでした。

ミシンか……。
Amazonで見てみてみたら案外安い。
だけど、Amazonで売っている安いミシンで事足りるんだろうか?
家電量販店で訊いても、知識は浅そうだし、なによりミシンを買うだけに特化すれば、家電量販店やAmazonで良いかもしれませんが、その後のフォローが大切だったりするのです。
だからミシン専門店でミシンに長けた人を探す事にしました。グーグル検索で「ミシン 専門店」——出てきたのが、堀ミシン商会でした。
レビューは23件。星は高評価。



堀ミシン商店てのがあるぞ。いってみるか?



ありかも
正直、軍資金もあるのに、なにをチンタラしてんだろうとイライラしてました。夢があるなら、夢の実現のために、ミシンが必要なら行動すればいいのに。どこでどういった物を買えば良いのかわからないので二の足を踏んでいるというか。
考えてもわからん時は、専門家に聞けばいいじゃん。ってのが僕の考えです。
で、今回息子を誘って堀ミシン商会に行ってきたというわけです。
ミシン職人
でも外観は……かなり年季が入っていました。正直、かなり不安になったんです。
- ミシンの展示数あるんか?
- 町のミシン屋で顔なじみしか来ない店じゃないのか?
不安がこみ上げる中、店の扉を開けるとご主人が迎えてくれた。



ミシンを探していまして・・・
から始まる会話はすぐにかみ合い。トントン拍子で会話は展開して、「まぁ座って」と椅子を差し出されて、息子の服作りの悩みの相談へと突入してゆきます。
そして話してみてすぐにわかりました。ここのご主人、
・ミシンの腕に自信あり
・ミシンの修理に自信あり
・ミシンの指導に自信あり
という、まさに「職人」でした。なにより印象的だったのは、店内に貼られた一枚の紙。
『ミシンを買うお客様は1時間、店主の話を聞くこと。』
ここで商売してるのは「物」じゃなくて「関係」だと思いました。ミシンを大切に使ってくれる人にだけ売る。その姿勢が、すごく潔くて、この店を訪れて正解だと思いました。
息子も最初はキョトンとしていたけど、ご主人と話し始めると表情が変わってました。こちらが素人だと知ると、がぜん燃えてくるご主人。
自分の経験をしっかり教え込む事にやりがいをもっている様子です。
にわかの経験があり自分のやり方が染みついた人に教えるより、なにも知らない真っ白な人に、自分の経験を教え込み成長を感じるのは楽しいのだと思います。
師弟関係
息子の今の現状を話して
- パターンを描いていること
- 服を作りたいと思っていること
そんな話をしているうちに、なんとご主人も息子と同じ高校の卒業生だと判明。
一気に距離が縮まりました。
その場で電話番号を交換していました。
なんだか、息子に師匠ができたようなそんな心地よさがあり安心しました。



「この店どうやって見つけたん?」
と、帰り道に息子が訊いてきたので、僕は答えました。



「家電量販店じゃ教えてもらえないことがあるし、Amazonは現物が見られない。アフターサービスも不安だろ? だからミシン専門店がいいと思って探したんだよ」
息子はうんうんと頷いていた。
どうやら、堀ミシン商会をかなり気に入ったらしい。買ったら終わりじゃない。構造、修理、使い方、そして服作りまで教えてくれる。そんな店、そうそうないと思う。
まずは安心した。
ひとつずつ、形にしていけばいい。
道具は「モノ」だけど、それを通して誰かとつながるなら、それはきっと「縁」なんだと思う。
ミシンを通して、息子の中にまた新しい世界が広がり始めた。そんな一日でした。